人材不足は採用だけでは解決できない。〜人口減少時代に取るべき多様な人材を活かす戦略〜
開催日:2026.09.30
開催場所:加西市 アスティアかさい
Seminar
主催
加西市男女共同参画センター/加西商工会議所/兵庫県立男女共同参画センター

人材不足のとき、まず求人媒体選びから採用活動を始める。逆。採用活動は、定着支援から始める。今いる社員が辞めなければ、採用数は減らせる。リファラルもアルムナイも上手くいく。口コミサイトやSNSで勝手に応募が増える。
こんにちは。
シルバーウィークは、ひたすら求人広告を見て、
企業の採用のSNSアカウントを追っかけていた人事の扉株式会社の桜井透です。
最高のシルバーウィークでした。
さて、2026年9月30日、加西市、加西商工会議所、兵庫県立男女共同参画センター主催の「人材定着につながる職場づくりセミナー ~女性活躍の視点と企業の実践から学ぶ~」にて、第一部の登壇を務めさせていただきました。
兵庫県を代表する加西市内の企業様にご参加いただきました。

■ 深刻な人手不足と「穴の空いたバケツ」問題
パーソル総合研究所のデータによると、労働需要7,073万人に対して労働供給は6,429万人にとどまり、実に644万人もの人材が不足すると予測されています。
この圧倒的な人手不足の時代において、企業はつい「採用」だけに注力しがちです。しかし、どれだけコストや労力をかけて採用を行っても、入社後に人が辞めてしまっては「穴の空いたバケツに水を入れている」のと同じであり、根本的な解決にはなりません。
新規採用以外で人材難を乗り越えるためには、「定着促進」と「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン=多様な人材の活用)」が不可欠であると私は考えています。
■ 定着を促進するためのマネジメントの鉄則
社員が長く働き続けたいと思える職場をつくるためには、管理職の振る舞いや評価体制が重要になります。セミナーでは以下のポイントをお話ししました。
・ 上司は常にご機嫌でいる
上司の不機嫌は職場環境を悪化させます。「自分の機嫌は自分で取る」ことを徹底し、部下が相談しやすい雰囲気を作ることが大切です。また、問題が発生した際は原因追及よりも「どう解決していくか」という解決志向を持ち、悪い報告(バッドニュース)を早く上げてくれたことに感謝する姿勢を管理職には求めています。
・ 明確な評価基準と都度フィードバック
評価には感情を一切入れず、事実ベースで行う必要があります。気になる点があれば賞与面談の時だけでなく、その都度フィードバックを行うことが重要です。
・ 1on1ミーティングの活用
週1回・15分の1on1を推奨しています。「時間があったらやる」のではなく、管理職の最優先事項として先にスケジュールを押さえてください。雑談で終わらせないために「1面談1テーマ」とし、「10点満点中、今の状態は何点か」と聞くことで、満点との差分から部下の本音や悩みごとを引き出すことができます。
■ アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)に注意
人材を活用する上で障壁となるのが、無意識の偏見です。
「女性だから管理職は望まないだろう」「Z世代だから指示待ちだろう」「時短勤務だから責任ある仕事は任せられないだろう」といった思い込みは、社員の成長機会やキャリアの可能性を狭めてしまいます。
働き方の希望やキャリアプランは、性別や世代で一括りにするのではなく、一人ひとりに確認することが大切です。
■ DE&Iの視点で業務を分解し、多様な人材を活かす

求職者が仕事を探す際、「在宅勤務」「フルリモート」「未経験」といったキーワードが上位に検索されています。こうしたニーズに応えるため、セミナーでは既存の業務を見直した成功事例をご紹介しました。
・ 建設業の事例
従来、「施工管理は男性しかできない」という思い込みがありました。しかし、施工管理の業務を洗い出すと、書類作成やデータ入力、メール対応などの事務作業に約40%もの時間を取られていることが判明しました。
そこで、これらの事務作業を切り離してフルリモートで働く子育て中の女性社員に割り振ることで、全国から優秀な人材が集まりました。施工管理担当者も現場のコア業務に専念できるようになり、残業削減と品質向上の両立を実現しています。
・ 日本酒メーカーの事例
「職人の仕事は瓶詰めまで全て」という思い込みがあり、長時間労働が常態化していました。
そこで、掃除、ラベル貼り、箱詰め、道具の洗浄といった軽作業を分解し、シルバー人材や留学生、パートスタッフなどに任せる仕組みに変更しました。職人は酒造りという本来のコア業務に集中できるようになり、労働環境が大きく改善されました。
■ まとめ
人手不足を解消するためには、まずは今いる社員の「定着」に向けたマネジメントの改善が必要です。その上で、業務内容を分解し、アンコンシャス・バイアスを排除することで、リモートワーカーやシニア、外国人材など、多様な人材が活躍できる場(DE&I)を創出することができます。
皆様の企業の業務にも「切り離せる仕事」や「思い込み」がないか、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。