「未経験歓迎」なのに、面接で経験者を探していませんか。
Column
2026.10.21

求人では未経験者を歓迎しているのに、面接では経験者にしか答えられない質問をしてしまう。入社前に必要な力と、入社後に教えることを分けて考えます。
ポイントカードが見つからないと、最初から貯めていない顔で「今日は大丈夫です」と答える人事の扉株式会社の桜井透です。
「未経験歓迎」と書いた求人票。その横に、面接で使っている質問を並べてみてください。応募するための条件と、採用されるための条件は、同じになっているでしょうか。
たとえば、営業未経験者を募集する場面を考えてみます。求人には「商品知識は入社後に教えます」と書いてある。ところが面接では、「これまで、どのように新規顧客を開拓してきましたか」「売上目標を達成するために、どんな工夫をしましたか」と聞く。営業をしたことがない人には、話せる経験がありません。
面接後の社内評価が「営業のイメージができていない」「もう少し具体的に話してほしかった」になるとしたら、応募者の準備不足を考える前に、質問を見直す余地があります。未経験でも応募してほしいと伝えた会社が、経験者としての答えを待っていたわけです。
経験のある人を採用したいなら、その方針を求人に反映すればよいと思います。困るのは、応募を増やすために「未経験歓迎」と書きながら、面接する人の頭の中には「すぐに一人で任せられる人」がいる状態です。
まず決めたいのは、「何ができない状態なら、入社してもらって大丈夫なのか」です。

たとえば、商品の説明はまだできなくてもよい。見積書の作り方も知らなくてよい。最初の商談は先輩が一緒に行く。その代わり、分からないことを確認する、教わったことを試す、困ったときに早めに相談する。こうした行動は、面接で具体的に確かめたい。このように分けると、聞くことも変わります。
「初めて取り組むことを覚えるために、どんな工夫をしましたか」「分からないことがあったとき、どうやって解決しましたか」。これなら営業経験がなくても、これまでの仕事や活動から話せます。そこから「誰に、何を聞いたのか」「教わった後に、何を変えたのか」と掘り下げれば、応募者が実際に取った行動を確認できます。
そして、会社側にも確認が必要です。「入社後に教える」と決めたことを、誰が、いつ教えるのか。先輩の予定は埋まったままで、「分からなければ聞いてね」と声をかけるだけになっていないか。未経験者を迎えるなら、教える時間も仕事の予定に入れておく必要があります。
次の面接の前に、採用担当者と現場の責任者で「入社時点では、できなくてもよいこと」を三つ書いてみてください。ここで意見が割れるなら、応募者を評価する前に、社内でそろえるべき期待があります。
「未経験歓迎」の一言には、会社が教える約束も含まれる。そう考えると、求人票だけを直して終わりにはできません。面接で聞くことと、入社後に教えることまでつなげて、初めて安心して応募してもらえる募集になると思います。
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